テキストサイズ

ハル

第1章 誘拐

「ねえ、僕?お名前何だっけ?」
「お姉さん、だれ?ぼくは來(らい)だよ!」
ミルクティー色の緩く巻かれた髪の、美しい高校生ほどの女
──いや、女というにはまだ幼く、少女というには大人びている──が、黒髪の少年に笑いかける。
「あぁ、そうだったね、らいくん。
お姉さんはね、ハルっていうの。らいくんのママのお友達なんだ。
ママに言われてるから、一緒に帰ろっか。」
そういい女は人当たりの良さそうな笑顔で、らいに手を差し出した。
端から見れば仲のいい姉弟に見えることだろう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ