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ハル

第1章 誘拐

ハルは大きな西洋風の建物に入っていった。
「らいくん、ついたよ。」
長い廊下、見上げるほどの螺旋階段、高い天井。
「ねえ、このお城……」
何もかもが異常なこの空間に來が疑いを感じたそのとき、
「ハル様お帰りですか。また、ハル様好みのお子様ですね。」
黒い燕尾服を着た長身の男がある一室の扉を開けた。
「らいくん、このベットにすわって。」
「ママは?ぼく、かえりたいよ。」 
部屋の中央にある大きな天蓋付きベットに座り自分の隣をポンポンと叩くハルに來が不安そうなこえをだした。
「らいくん、すわって。」
今までとは比にならないくらいの冷たい声に來は怯え大人しく座った。

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