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秘密のアルバイト

第11章 智とのデート

あれから1週間。
あいつには会っていない。

大学に来るのも、何だかコソコソ隠れるように来ている。

そんな事する必要はないんだけど・・・

あいつに会うのが・・・怖い。


「そうだ、久しぶりに図書館にでも行こうかな」


下を向いて歩いていると、誰かが近付いてきた。


「あいつか?」


思わず俺は走り出した。
図書館に向かって、後ろも振り向かず、誰かも確認しないで・・・


図書館に着き、人目に付かないように奥の席を探し座った。
席に着き、そっと振り返ると、誰もいなかった。


「よかった・・・勘違いか」


ほっとして前を見ると、智が座っていた。


「わっ!!ビックリした」

「驚いた顔も、可愛いね」

「ビックリするじゃないですか。
いつからいたんですか?」

「和也を見つけたから声かけようとしたら、走って行ったから、思わず追いかけちゃったよ」

「何だ、智だったんですね。
も~、マジビックリしました」

「何か追いかけられるような事でもあったの?」

「いや・・・別に・・・」


櫻井の顔が頭を過り、俺は下を向いた。


「心配事でもあるの?相談にのるよ」

「いや・・・別に・・・」

「何?俺には言えない事?」

「そう言う事じゃなくて・・・
ありがとうございます、本当になんでもないです」

「あれっ?大野先輩じゃないですか?」


その声に背中に寒気を感じ、ゆっくりと振り返った。


「おぉ、翔か。お前もここだったんか」


そこには櫻井が立っていた。





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