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秘密のアルバイト

第29章 まさかの告白

昼間とは違い何も見えず、ただ川の流れる音と、ときどき吹く風で揺れる木の音だけ。


「深夜の露天風呂は一人で入るにはちょっと怖いな。
お前が起きててよかったよ」

「うん・・・」


二人並んで入った。


「やっぱ露天風呂最高!気持ちいいな。
暗くて誰にも見られないから開放的だよ」

「うん・・・」 

「・・・」


俺の話にこいつはただ“うん・・・”と答えるだけ。


「なぁ、俺前々から思ってたんだけど、お前何か俺に言いたい事あるんじゃね?」

「えっ?」

「えっ?じゃねぇよ。
昨日のお土産売り場でもそう、いつだったか俺に何か言おうとしてやめるって事があったけど・・・」

「あっ、あぁ・・・」


俺は風呂の底に両手をつき、子供がよくやるワニのように移動していった。


「俺さぁ、ぶっきらぼうで面倒くさがりだから何か気にさわる事してたらごめん。
だから言いたい事あったら言ってくれよ」

「うん・・・」


うなづいて目をそらした。

俺も背中を向けたまま、ぼんやりとしか見えない景色をしばらく見ていた。

冬でも長く入っていると熱くなってくる。
立ち膝をして、上半身をお湯から出した。


「あ~、気持ちいい」

「じゃあ、言ってもいいか?」

「おぉ、何でも言ってくれよ」

「言うけど・・・俺の事、気持ち悪がるなよ」

「はぁ・・・?
気持ち悪がるなって、どういう意味だよ」


俺はそのまま風呂の縁に座った。
気がついたら目の前まで近付いて来ていた。


「何だよ・・・はっきりと言えよ」

「俺さぁ・・・
ずっとお前の事、可愛いなぁて・・・」

「へっ⁉」

「だから、つまりだな・・・その・・・」

「それってもしかして・・・」

「俺、お前の事が・・・好きになっちゃったんだ」


えぇぇぇぇぇっ!!

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