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秘密のアルバイト

第41章 引退DVD2

じっと俺を見つめる社長。
俺は目をそらし、カップに目をやった。


「そうだね。
こんな言い方するのはいけないんだけど、君は人気があるからね。
始めに言ったよね・・・ケジメって」

「言いましたけど、よく意味がわかりません」

「意味か・・・
うまく言えないけど、これを見た人が君の事を諦めてくれるかなって。
俺も含めて・・・」

「えっ・・・⁉」

「さっきはあらためてって言ったけど、彼とはもう撮影はさせないから心配しないで」

「はい・・・」


やっぱ気がついてたんだ。


「このDVDの最後は、君にとっていい事があるから楽しみにしていて」


俺の頭を小さな子のように、ポンポンと撫でた。


「さぁ、予定もなくなった事だし、もっと遊んで帰ろう」

「はいっ!」


最後にいい事があるからって言うけど、いい事って何だ?
結局、誰かとHするんでしょ?
特にいい事って訳じゃないじゃん。

ふぅ~・・・
出来たらもう、撮影したくないなぁ。
今さら嫌だなんて、言えないしな。

ホテルを出た俺達は、仕事抜きで観光地を満喫して帰った。


「二宮君、お疲れ様でした。
今日あいつ、撮影で迎えに来られないと思うけど
・・・送ろうか?」

「大丈夫です。
そんなに荷物があるわけじゃないので。
ありがとうございます」

「じゃあ、気を付けて帰ってね。
次の撮影、また連絡するから。
それから・・・」


耳元に近付く社長。


「何ですか?」

「あいつに昨日LINEの返事しなかったこと、上手いこと言っておいたから、口合わせておいてね」

「あっ、ありがとうごさいます」

「帰り道、ナンパされないように気を付けてね」


次の撮影の連絡入ったのは、1週間後だった。


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