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秘密のアルバイト

第41章 引退DVD2

約束の日。
事務所に向かい、いつものように電車に乗った。
昼間なのに、何だか今日は人が多い。


「何だ?
こんな昼間なのに、何か人が多いなぁ」


吊革に掴まり、囲まれるように立っていた。
乗っている時間は15分くらい。
やっぱ今日は何か違う。


「んっ⁉・・・何だ?
それほど電車が揺れている訳じゃないのに」


違和感を感じた。
囲まれていて、体を動かそうにも動かせない。


「ヤバイ!
俺今・・・思いきりお尻触られてる!」


初めて痴漢に遭遇してしまいました。
振り返るにも振り返れない。
手も動かせない。


「どうしよう・・・あっ・あっ、手が・・・
来る・・・前に来る・・・」


トイレを我慢しているかのように、体をくねらせるしかできなかった。


「あっ・・・もう駄目だ・・・」


そう思っていると、混雑している人の中をかきわけて近づいてきた人がいた。
俺は諦めてうつむいていると、聞き覚えのある声がした。


「なぁオッサン、可愛い男の子のケツ触ってよろこんでるなんて、あんたの回りの人が知ったらどうなるかね?」


頑張って振り向くとそこには智が立っていた。


「智・・・」

「かず、もう大丈夫だよ」


智は俺のお尻を触っていたであろう、オジサンの手を掴んでいた。
その人は次の駅で、逃げるように電車を降りた。


「智、ありがとう・・・助かったよ」

「こんな混雑した電車に乗ったら駄目だよ。
かずみたいな子は、ああいう奴の餌食になっちゃうからさ・・・
で、ところでどこ行くの?」

「仕事で事務所に行くところなんだ」

「俺もだよ。じゃあ一緒に行こうよ」

「うん、よかった・・・」


智に守られるようにしばらく電車に揺られ、そして二人で事務所に向かった。



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