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秘密のアルバイト

第9章 不安

「おっ、名前を覚えてくれてたんだね。
嬉しいよ、和也」


もう一度、頭を撫でた。

この人に頭を撫でられると、何だかホッとするのはなぜだろう。


「智もここだったんですね。
知っている人が同じ学校で、しかも先輩なんて・・・あっ?!
先輩なのに名前で呼ぶなんて、失礼ですね」

「和也とは、先輩後輩の関係以上になる予定だから、智でいいよ」


何その“なる予定”って。
たしかに、それ以上の関係になっているのは間違っちゃいないけど・・・。


「どお?あれから仕事した?」

「はい、色々やりました。
まぁ、一応受験生だったんで、そんなにはないですけど」

「ねぇ和也・・・もしかしてさ・・・」


そっと体を寄せてきた。
そして内緒話でもするように、唇を近付けてきた。


「ヴァージン・・・無くした?」

「えっ・・・それは・・・」


こんなところで、何を聞いてくるかと思ったら・・・

顔が熱く、赤くなっていくのが自分でもわかった。


「その様子じゃあ・・・」


俺は黙ってうなづいた。


「何だ、そっか~。
俺が和也の最初の男になりたかったなぁ。
残念。・・・で、いつ?」

「高校を卒業してすぐくらいです」


ずっと下を向いている、俺の顔を覗きこんでくる智。


「どっ、どうしました?」

「和也・・・本当、可愛い」








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