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保健室の扉の向こう

第2章 見えたもの


「気持ち悪いの治った?大丈夫?」


私は、普通に聞いたつもりでいたのだが、彼女は焦らすように


「秋田先生のお陰で、気分が良くなりました」


と、にっこり笑いながら言った。




年下なのに、なんだか先を抜かされた気分だ。こっちが気分悪くなってくる。


「成田先生も気分が悪い時は保健室を訪ねてみたらいかがですか?」




華川ユズは、そう言って私の横を通っていった。




通った時の彼女の香りは、女の香りだったことが悔しかった。

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