保健室の扉の向こう
第5章 黒
今日はこの学校の文化祭の話についての会議だった。たまたま隣には、平田先生がいて向かえには海端先生がいた。
「あれ、成田先生。その赤いの…」
平田先生がちらちら私の手首を見ていることは気づいていた。
「へ!?あ…ぶ、ぶつけたんですよ」
嘘です。
真っ赤な嘘です、ごめんなさい。
「そう…なんだか痛そうだね」
そう言って私の手首を平田先生は掴んだ。
平田先生は見えないところでよく見ている人。年的には、多分30手前かそこらだと思う。
まあ、優しい人かな。
「手首にねぇ」
舐めるようにじっくりとみている。なんだか、緊迫感が出てきてつい額から冷や汗が流れていく。