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The man suitable for me

第5章 彷徨

つながった瞬間、女の声が、大音量で流れてきた。

「聞こえていますか?」

彼の声だ。

私は、はい、と返事した。

彼の声の背後から、ずっと聞こえてくる女の声。

少し鼻にかかったような、高くて甘ったるい声。

その声が、伸び縮みするように、流れていた。

心の内側を、スーッと冷たいものが、下りていって、私の感情を凍らせた。

自分の気持ちがわからない。

どうしてだろう?

通話を切ろうか、どうしようかと、迷っていたら、向こうから切られた。

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