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~夢の底─

第4章 冬色午後

「映画みたいで─いいCMですね」「うん…、ナレーションも音楽も無いのに…。それが凄い存在感」「グンソクさん、大学院生ですよね」「勉強好きなんだろうなぁ…」「ぼくなんか、大学どころか、高校もいい加減だったんです」「将来は何に…なりたいの」「─何も、…考えられないんです」「そう? でも、まだ若いからな、─良いな」 「TV消しますね─」うつむいて、リモコンに触れ、「ユノ先輩の将来─夢って、やっぱり…音楽の夢ですか─?」「出来ればね」「チャンミンさんと……一緒ですね」呟いた。無言のユノに、目をやり、「あ…」云いかけ直ぐに、口を閉ざす。 少し微笑み「何? …」問うと、「ソウルに、来て……」瞳が、重く光る。
「結局、明日帰る…けど─」遥かな遠い想いのように、「想い出作るのも、…何をするのにも、難しいものがありますね」云って黙り込んだ。
「うん─、でも崩れたら…また作ればいいんだから」「そう─したいです」「小さなこと、何でも、積み上げて行けばいい…」「積み上げても積み上げても、全部崩れ落ちたら……」両腕を抱き寄せるようにして「…だとしても、それはそれでいいじゃないか」目を瞑って微かに震える仕草でヒースは頷く。

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