
~夢の底─
第5章 霙──
「ユノ…?」すぐベッドに戻ってきたが、微熱の他にも気分が悪いらしく、両目が潤んでいる。
──いったん、ベッドにかけ、チャンミンが肩に毛布をおくが、直ぐにまた、顔をチャンミンから背けて、ふたたびバスルームに戻りかけてチャンミンに、止められる。「タオル、あります─」ユノの口元に当てがうと、自分の手で受け取って顔を覆った。
……渡されたタオルをチャンミンが足下のビニールに捨てる。「お水…、持ってきますね」云いながら、小さいタオルを渡すと、それも口元に当て、見るまに吐瀉物がチャンミンの指先を汚す。「全部、出して、ユノ」落ち着いた声に、ユノがかぶりを振る。「…いいんですよ─」新しいタオルをまた、チャンミンがユノに差し出す。「……」──今度は、素直に口に、当てる。
「…もう─、いい…よ」乾いた唇をチャンミンの添えるペーパーで、拭いながら嗄れた声を出す。両の目は、潤んだまま──。「ユノ…疲れたでしょう、寝てください」 目を瞑って、無言で枕に頭をのせる。軽く息をつくユノに、「冷たい…ミントのお茶でいいですか」だるそうな薄目で、まばたき応える。
チャンミンがタオルを持ち、パーティションの向こう、キチネットに背中が消えた。
──いったん、ベッドにかけ、チャンミンが肩に毛布をおくが、直ぐにまた、顔をチャンミンから背けて、ふたたびバスルームに戻りかけてチャンミンに、止められる。「タオル、あります─」ユノの口元に当てがうと、自分の手で受け取って顔を覆った。
……渡されたタオルをチャンミンが足下のビニールに捨てる。「お水…、持ってきますね」云いながら、小さいタオルを渡すと、それも口元に当て、見るまに吐瀉物がチャンミンの指先を汚す。「全部、出して、ユノ」落ち着いた声に、ユノがかぶりを振る。「…いいんですよ─」新しいタオルをまた、チャンミンがユノに差し出す。「……」──今度は、素直に口に、当てる。
「…もう─、いい…よ」乾いた唇をチャンミンの添えるペーパーで、拭いながら嗄れた声を出す。両の目は、潤んだまま──。「ユノ…疲れたでしょう、寝てください」 目を瞑って、無言で枕に頭をのせる。軽く息をつくユノに、「冷たい…ミントのお茶でいいですか」だるそうな薄目で、まばたき応える。
チャンミンがタオルを持ち、パーティションの向こう、キチネットに背中が消えた。
