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Tears ~緑のしずく~

第3章 舞姫~ひとひらの。。。~そのⅡ

若者は思わず
 目をしばたたいた

 いずれが現(うつつ)か
 いずれが夢か

 俺は何を今、見ているのだろう?

 いかほど経ったのか
目を開いた時
 あれほど激しく降っていた雪は嘘のように止み

 ただ紫紺の空には
妖しい銀の月が浮かぶばかり

 爛漫と咲き誇る桜は
ただ若者の見た幻をひっそりと
 笑うかのように立っている

 それは
  あまりにも儚く美しき
 ひと刹那の夢
  まぼろし
  
  

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