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Tears ~緑のしずく~

第3章 舞姫~ひとひらの。。。~そのⅡ

吉弥は舞う

 風に乗り
  あるときは翻弄される桜の花びらのように

 あるときは灰色の空を彩る純白の雪のように

 その何のもとらわれず
  無心に舞い踊る姿は
不思議と多くの人々の心を動かし
 魅了した

 村長の息子もその一人
毎日、吉弥の姿をひとめ見たさに
 熱心に通った


 ある夜
 若者は村はずれの空き地で
ただ一人舞う少女に出逢う

 若者が目にしたのは
そこにあるはずがないもの
 見えるはずがないもの

 春の真っ盛りの宵に
降りしきる雪の花びらを
 一身に浴びながら舞う少女  

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