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Tears ~緑のしずく~

第3章 舞姫~ひとひらの。。。~そのⅡ

明日の朝早く
 一座はいよいよ次の興行地に向けて発つ

若者は少女の手を取った
 〝このまま、どこにもゆかず
俺の妻になって欲しい〟

 しかし少女は首を振る 

〝ならば、せめて旅立つ前に
 そなたと結ばれたい〟

 なおいっそう哀しげな少女の微笑

〝私には他人には言えぬ秘密があ
る。そなたにだけはそれを明かしたいが、ゆえあって、話せぬ〟

 それは
ほんの一瞬の儚い口づけ。
 鳥の羽がかすめるような

 捕らえようとする狩人から逃れるように
 少女は若者のてを振り切って逃げた
  
 

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