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Tears ~緑のしずく~

第3章 舞姫~ひとひらの。。。~そのⅡ

翌朝まだ
東の空が明け初める頃

一座は人知れず
 村を後にした

 物陰からひそかに見送る若者
その姿に吉弥は気づかない

一座の衆は
大道具を引かせた数匹の馬とともに
やがて遠く小さく見えなくなった


昔、吉弥という美しい舞姫が
 旅の芸人一座におったそうな

 けれど
その誰もを魅了した舞姫が
 両性具有という哀しい宿命(さだめ)を負っていたとは
 誰も知らぬ

 生まれながらに人を愛し
愛されることを許されない過酷な 運命を生きる者であることを

~今は昔、
 はるけき昔の物語~ 

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