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Tears ~緑のしずく~

第9章 切なすぎる、嘘。

あなたの歓ぶ顔が見たくて
 私 一生懸命 作った

料理の分厚い本を買って
 何度も失敗しながら作ったの

 でも あなたは帰らない
 料理はどんどん冷めていって
 私のエプロンは
しみこんだ涙で濡れた

 今朝 とうとう見つけてしまったわ
 あなたのワイシャツを洗濯機に入れようとしたら
 胸元についていた
   ひとすじの髪の毛

 あれは女性のもの
 細くて茶色っぽい

 私とは全然違う
私は今風に染めるのも嫌いだし
 長く伸ばすのも嫌いだから

 それでも あなたが
茶髪のロングヘアが
風になびく感じが好きだと言ったから

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