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Tears ~緑のしずく~

第9章 切なすぎる、嘘。

私を腕に抱きながら
〝美貴〟と呼ぶのはやめて

 ベッドをともにした後
煙草をくわえたまま
 遠い瞳で壁を見つめるのは
やめて

 あなたの心が
どんどん私から離れてゆくのを
 私 ただ
何もしないで見ているしかない

 いっそのこと
あなたが〝別れよう〟と言ってくたなら
 思い切り あなたをなじって
最後にいちどくらい
ひっぱたいて終わりにできるのに

 あなたは狡い男
彼女に心をあげたまま
 私と彼女の間をいったりきたり

 それとも
私から別離を切り出すのを
あなたも待っているのかしら

 それなら
私も言わない
 あなたを彼女に渡さない

 -って
 本当は私
あなたから離れたくないだけなのに

 こんな意地っ張りだから
あなたに嫌われるのかしらね

 

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