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Tears ~緑のしずく~

第11章 花水木の咲く町で

低いフェンス越しに
 薄紅の花水木が美しく咲き誇っていた庭

 今でもつい昨日見たばかりのように
あの花のみずみずしい色を
 思い出すの

 今年もまた
私たちが永遠に逢わなくなったあの季節がやってきて
花水木が咲いた

プロポーズされた翌朝
あなたからのたった一通のメールで
私たちの二年間が終わってしまうなんて
まるで悪い夢を見ているようだった

でもね
 私にだって言いたいことはあるのよ
 ただの一度で諦めてしまうような気持ちって
 果たして本当の愛だったかしらね

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