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Tears ~緑のしずく~

第11章 花水木の咲く町で

あのとき
 何故 思い至らなかったのかし

あなたの言葉が
 既に過去形になっていたことに
あのとき
 あなたの瞳はもう私から離れて
はるか彼方を見つめ始めていたのね

 あなたがプロポーズした時
ニューヨーク支社に転勤の話が持ち上がっていたと
後になって風の噂に聞いたわ

どうして
海外勤務の話を私にしてくれなかったの?

そう あなたを責めることは
容易いけれど
 あなたの心を試そうとしたのは
私の方だもの
世間では こういうのを
自業自得というのでしょうね

あなたが
私と結婚したら住みたかったと言ったあの小さな家



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