
社長様のモノ
第2章 二人の関係
私は 結局 されるがままで、煌貴のシャツの裾を、クシャッと握った。
弱々しく力が入ったそこに、煌貴が手を重ねた。
「……杏…っ…」
唇が離れ、互いの唾液が入り混じった銀の糸が、私と煌貴の唇を繋ぐ。
自然と、視線が交わった。
「–––––– ハハハッ、相変わらずだな 煌貴」
薄っぺらい笑いが 響き、私は律さんへと視線を移した。
煌貴も、同じタイミングで律さんを見た。
「どういう意味だよ?」
笑いながら問いかけ、どこも怖さなどは感じられなかった。
「別に深い意味はねぇよ?この子も、大勢の中の一人なのかなって」
私をチラッと見て、意味深に答える律さん。
〝大勢の中の一人〟?
私には、律さんが言ってるいるコトは全く 理解できなかった。
だが、隣にいる彼は別で。
律さんの言葉に眉をしかめる。
