
社長様のモノ
第1章 派遣先は…
馬鹿な私でも、理解できる。
〝クビ〟なんだと。
彼女は 真っ青になって、涙目になっていた。
「ち、ちゃんと見てなかっただけなんですっ!社長!」
え?社長?
彼女が長身の男に必死に訴えていた。
この人が……、社長?
周りを見渡すと、いつの間にか 見物客がいて。
私たちを囲むかのように ジロジロと見ていた。
うわぁー…やだなぁ。
「聞こえなかったの?キミはクビだよ。
今日中に荷物をまとめといてね」
〝クビ〟と、ストレートに言った長身の男は、冷たく威厳で。
隣に立っている私まで、言われてしまったのかと思い込んでしまう。
私だけではないだろう、
きっとこの場にいる誰もがそう思ったはずだ。
