
社長様のモノ
第1章 派遣先は…
後ろをゆっくりと振り返ると、
腕を組んで ジッと見据えている長身の男が立っていた。
その男の顔を見た瞬間、青ざめる案内係の女の人。
「キミが僕の新しい秘書だね?ごめんね、うちの社員が変なことをしたみたいで」
長身の男は ゆっくりと私に近づき、にっこり 微笑む。
その笑顔が、私には黒く見えて、ブルッと一瞬 寒気がした。
案内係の女の人が、アタフタと、見もしなかった名簿を慌ててめくる。
……わざとらしい。
「す、す…すみませ…っ、か、確認不足 みたいでっ…
「キミ。もうウチに来なくていいよ?」
………へ??」
長身の男が言った言葉に、さっきの私と同じような間抜け声を出す女の人。
