「先生、食べちゃっても良い?」
第12章 特別室 その参
乱れた私の息だけが特別室に響く中で、キョウ君はその場に立ち上がると悔しそうにグチを零す。
「……俺ってバカだね。先生と一カ月も離れてたなんて。何やってんだろ、本当」
そして私の顔へ寄り添う様に自身の顔を近づけると、可愛らしくにこりと微笑んだ。
「先生を抱かなかった一カ月分、これから毎日抱いてあげるよ。……逃がしはしないから、先生。覚悟しといて」
その狂愛染みた言葉を聞いて、キョウ君に対して一瞬恐怖の様な感情が湧き上がってくる。
……恐い。
けれど、それは私の事を愛してくれているという事だろうか。
だとしたら嬉しいが、キョウ君の事を今は前よりも信用出来ない自分がいて、こんな事を言われても素直に喜べない。
「愛してるよ、先生」
そのまま貪りつかれる様に口付けられても、私の頭の中はキョウ君への不信感でいっぱいだった。