バラードは君だけに
第11章 愛しの君
湊side
俺は朝から続く撮影で、少々疲れていた。
やっとできた休憩時間。控え室で缶コーヒーを飲みながら、ボーッと考え事をしていた。
そんな時、携帯が鳴る。
海斗だった。
『兄貴、今いいかな』
「ん、どうした?」
『実は美羽の様子がなんかおかしくて』
「…っ、おかしいってどういう風にだ?」
ーーーー
「わかった。お前は今美羽ちゃんといるんだよな?
そのまま傍についててやってくれ」
『ああ、それはもちろん!』
美羽…
俺は君を守れるのなら、保護者の立場でも構わないと思っていたのに。
その考えは間違っていたんだ。
君からの、画面いっぱいに羅列された
“愛してる"
の文字を見た時、何もできない自分が
ただ虚しくて、切なかったよ……。