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「待っていましたよ。」

1人の少年が、私を迎えてくれる。

私が来ることが分かっていたかのように…。

「ようこそ、生死の狭間へ。」

「生死の…狭間？」

うまく頭が回らない。

私は少年をぼーっと見つめながら、彼の言葉をオウムのように繰り返す。

「地獄行き、天国行き、リバース…現世に戻せるかを決める場所です。」

少年は作った笑顔を浮かべながら、まだ意識が朦朧としている私に、簡単な説明をくれた。

「じゃあ、私死ぬの？」

ようやく自分がここにいる理由がハッキリと理解でき、恐る恐る聞いてみたが、即答した少年は、私が思ってもいなかった答えを返してきた。

「いいえ。貴女にはまだ命の灯火が灯っている。少しだが、時間がある。

よって、貴女はリバース…。現世に戻されます。」

輝く笑顔で言われ、少し戸惑う。

私が困惑した顔をしていると、少年は目を細めて優しく頬笑み、片手を差し出した。

「たとえ火は小さくても、消えていないなら再び明るく灯す。
それが私の使命です。」

少年を見上げじっと見つめていると、差し出された手から目を開けていられないほどの明るい光が溢れ出した。

「これから私の力を使い、貴女を現世に戻します。あまり暴れないでくださいね。」

少年は光が溢れ出ている手を私にかざした時、私は光に包まれた。

「残り少ない時間を、後悔しないように過ごしてください。」

(優しい光…。)

気持ち良くて目をつぶる。
その時、最後に見た少年は、作った笑顔を浮かべ、私を見届けた。