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第1章 Episode 1 断罪者



「ケイちゃん、どないしたん?」


鈴に声をかけられ、恵太郎は頭を振って脳内の映像を消し去る。

「いや……ちょっと昨日の死神のことを思い出したんだ」

恵太郎の身体が微かに震えだす。

「……恐ろしい奴だった……。大きな鎌で、俺の……右足を……」

恵太郎は俯き、今は無き右足があった場所を見やる。


「傷の具合は大丈夫なん?」

「……右足を切り取られた直後は、血が大量に流れて死ぬかと思ったけどさ……あの死神が立ち去った後に、突然血が止まって傷口も塞がったんだ。……気持ち悪い……。絶対にアイツ人間じゃねえ! 特にあの真っ赤な目!! 思い出すだけで身の毛がよだつ!!」

俯きながら頭を掻きむしる恵太郎を、黒斗と鈴は黙って見守るしか出来なかった。


「……今日はもう帰ってくれ。いや、しばらく来ないでくれ。誰かと会う気にもなれないし、それに……」

一呼吸置いてから、恵太郎は小さく呟いた。

「月影には悪いが…お前の赤い目を見てると、あの死神を思い出して嫌なんだ……!」

「……分かったよ。今はゆっくり休んどけ」

こちらを見ようとしない恵太郎に、黒斗はそう言うと鈴と共に病室を後にした。

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