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第1章 Episode 1 断罪者



「…………」

江角の死亡を確認した黒斗は振り返り、うずくまって嘔吐している平田の元へ歩み寄る。



「うげえぇ……ゲホッ……」

咳と嘔吐を交互に繰り返す平田は、黒斗に気付くと青ざめた顔でガタガタと震えた。


「イヤだあああぁ!!!! 死にたくないっ!! 頼む、助けてくれえぇっ!!」

恐怖に叫ぶ平田の口を、黒斗は血濡れた手で塞ぎ、彼を射抜くような眼で睨む。


「お前には全ての真実を公表し、田島の無実を証明してもらうという大事な役目があるからな。殺しはしないさ」


そう言うと黒斗は鎌の切っ先を、平田の首に突きつける。

「言うとおりにしなければ……殺す。何処に逃げても無駄だからな」

涙を流しながら頷く平田の反応を見て、黒斗は手を離す。


「今まで積み上げてきた功績を全て失う。それがお前の罰だ」



背後に開いた黒い穴に入り、そのまま黒斗は姿を消した。




ドンドンドン


玄関から騒がしいノック音が響く。

「江角さん、大丈夫ですか!? 銃声がしたという通報を受けたのですが……」

立ち上がる気力もない平田は、放心したまま江角の死体を見やる。

すると江角の傷口は塞がり、消え去っていった。



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