百鬼夜行左藤家黙示録
第16章 京を駆ける忍
そして修学旅行の当日となり
我々を乗せた新幹線は
京都に向かって加速し始めた
私は隣の席には義明が座っている
だがそれは不思議な光景なのだ
語りかけずにはいられない
「そういえばお前さ
小学生の時に修学旅行
来なかったよなー?」
「あの頃はまだ子供だったからな
まだ世界を知るには早すぎたのさ…」
非常に理解し難い発言だが
翻訳すると地元から出たことがなかったのだ
義明からすると関東から関西は
普通の人で言う海外扱いにあたるのだろう
「まあ何にしてもお前が
自腹で来るとは驚いたよ!
金どーしたんだ?」
「どーするも何も
それをこれから稼ぎに行くんだろ!」