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夜が開けるまで

第2章 新人社員

拓馬は入社三ヶ月のスタートダッシュを驚異的な件数で叩き出し、
営業所でトップを独走している由紀と並んでいた


最近は、声をかける知り合いも友人も尽きて訪問先に苦慮してはいたが、まだまだ余裕綽々としていた



「向井君、結構顔広いから、訪問先に困らないでしょう?」

営業日報をまとめる拓馬に小太りのベテラン外交員が声をかける


「以外とガード固いですよね…。保険の話になると別ですよ」
拓馬は少し眉をひそめた。


「向井くん、地元では名前が知れた高校生バンドだったそうじゃないの」

「よく知ってますね!恥ずかしいな」

拓馬は照れ臭いように頭を掻いた。


「最近また活動を始めたんですよ。練習に取られて、保険の営業なかなかできないですね」



営業が出来ないとどうなるのか




拓馬はやがて訪れるコミッション制の現実にまだ理解ができていなかった


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