
夜が開けるまで
第2章 新人社員
リビングに入ると、広い窓から太陽の光が燦々と降り注いで明るさを増していた。
白いイタリア製の革張りのソファ
大理石のダイニングテーブル
白を基調とした調度品が、太陽の光によく映えている。
「実はお客さんの方から、時間を変更してほしいとさっき電話があって…」
拓馬は言葉を濁した。
「なぜ、すぐ連絡しないの?わざわざ来る事もなかったのに」
由紀は不機嫌そうに言った。
「じゃあ、帰るわね」
由紀がくるりと背中を向けようとした途端、拓馬の両腕が彼女の上半身に絡みついた。
「帰らないで」
