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遠距離愛

第25章 遠距離愛

父親がいないこと、亡くなっていることは、世間の同情と共に格好の話のネタにされていた。
未来もずいぶん辛い思いをしたことだろう。

それでも特に大きな病気もなく、元気で優しい子に育ってくれたのは、どんな形でも守ると言ってくれた猛くんが、ずっと見守っていてくれるのだと思った。


彼のお骨を分骨してもらい、ペンダントにして身につけられる時には身につけていつも一緒にいる。


お墓はお兄さんと相談して、彼が産まれ育った街にたてた。
だから、思い出のこの街では、彼との思い出の海が見える小高い丘に彼に会いに来る。


私は娘に何の報告?と聞いてみた。

「彼と結婚しようと思って」はにかみながら答えた。

未来が結婚…もうそんな年齢になったのね…
そのことが嬉しいような寂しいような気持ちになって
私の頬には涙が伝った。

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