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遠距離愛

第9章 自分のこと聞いて欲しいの

彼は何も言わない。ただじっと見つめてる。

何も言ってもらえないから、どうしていいのかわからなくなる。
でもちゃんと話をするために来たんだから…
続けて重い口を開く。

幼馴染の圭ちゃんのこと、
とてもとても好きだったこと、
高校の時に酷く辛いことがあって心が壊れたこと、
それを救ってくれたのが圭ちゃんで
彼が望むなら結婚しようと思っていること、

狡いのはわかってるけど、猛くんが好きなこと…

彼はずっと黙って聞いていた。
その瞳はずっと私を見つめていた。

見つめられると恥ずかしいけど嬉しかったその瞳が、今は怖い。

引いた?軽蔑した?呆れた?嫌いになった?

もう口を開くことができなくて黙って涙を流した。


「知紗に彼氏がいること知ってた」

そう彼が一言語り始めた。

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