センシティブ♥ボーイ
第22章 蛙はカエル
「さっきも小松菜あげてたよね?もう上げなくていいよ、カナ」
「……え……で、でもぉでもぉ」
僕のパジャマの裾を引っ張って、珍しくごねる。
カナはうるさいけど、基本的には素直だし、あまりごねることはないのに。
首をかしげていると、お母さんが笑った。
「ふふ……聖司くんにみてもらいたいのよね?カナ」
「まさしくん…まさしくんみたいって!」
「す、鈴木くんが来てるの?!」
なんでそれを先に言わないのかな
僕はふらつく身体を支えながら、急いで階段を上った。
すると、部屋の中から会話が聞こえる。
良く耳を澄ますと、それは会話ではなく、カエルが一方的に話している声だった。
『スズキクンサワッテクレナイホウカゴ……スズキクンサワッテクレナイホウカゴ……カナシイカナシイ』
………??!!!!!
『スキスキスキ…スズキクンスキスキ』
か、カエル何言って……!!
あの時なんかずっとこっち見てるなって思ってたら……っ
↑(p.163参照)
いつの間に覚えたの?!
あの時も復唱した時に怒っておけば良かった。↑(p.206参照)
『スズキクンスキスキ』
まだ声が聞こえる。
僕はその声をかき消すように、堪らず叫びながらドアを開けた。