センシティブ♥ボーイ
第24章 あいつのために
溶け始めた氷がカランと音を立てる。
ツルの機嫌があまりよくないことはわかっていた。
そりゃあそうだ。
一番仲の良い奴が明らかに何か隠し事をしてるんだから。
「俺は当初の予定通り、大学にいくよ。まあ、マーチくらいか、ひとつ下か、そんくらいの学校にするつもり。」
まーち
まあち
マーチ
あ、MARCHね。
大学のことなんて全く考えていなかった俺には、そのマーチがどのくらいのレベルなのか言われてもわからない。
「サトゥーにくっついていくのはまず無理だと思ったほうがいいよ。あいつは頭いいらしいし。」
「……」
怒ってる。
ツルが怒ってる。
怒ってる理由はわかっている。
俺は佐藤じゃないから。
「なんでそんな話したのか知んねーけど。俺は勉強教えらんねーから。塾でもなんでも行けよ」
「ツル!」
ガタンと音がなって、ツルは立ち上がった。
完全に怒らせた。
このまま別れるのはよくない。
帰らせるわけにはいかない。
「……っ……っ」
あーーーー!もーーーー!!
「俺と佐藤、付き合ってんだ!!!」
ファミレスが一気に静まり返った。