センシティブ♥ボーイ
第26章 ちょっと距離を置こうか。
昼休み前は体育だったから着替えに時間がかかっているんだろう。
なかなか佐藤はこなかった。
その間、背中をタンクに預けて、来る途中売店で買った鉄分補給ドリンクを目を瞑りながら吸い出した。
あー…はやく佐藤のこと…抱きしめたいな…
あいつ…すげぇ柔らかいんだよな…
抱きしめるとこう…ふにふにしてて…いい香りして…
あー…抱きしめたらきっと…こんな頭痛もあっという間に…
なんて考えているうちに、鉄分補給ドリンクを飲み終えてしまった。
ズズッと音がして目を開けるけど誰も居ない。
流石に体育で着替えているにしては遅すぎる時間だ。
不思議に思って教室にいくと、佐藤はひとり、弁当を広げて食べていた。
「なにしてんの」
「…え……あっす、すずきくんっ」
「ずっと待ってんだけど」
佐藤はあたふたしながらも弁当を包む様子はない。
ドカッと佐藤の机の前の席に腰をおろして、佐藤のほうを向くと、
「ぼ、ぼく…一人で…食べる…」
なんて、超絶ムカつくことを言われた。