センシティブ♥ボーイ
第1章 僕の秘密
「はーい、前屈ー!
後ろの人、前の人を押してー!」
ピーー!っと体育の先生が鳴らす笛と共に、僕の背中に手が触れる。
思わず声が出そうになって、唇を噛み締めた。
ブルリと身体が震えてぞわぞわと湧き上がってくる感覚。
あぁっ、やばい、
やばいっど…しよっ
僕の背中を押しているのは、出席番号が僕の次である、クラスのヤンキー(と思っている)鈴木くんだ。
彼は今まで、体育の体操はほとんど参加しようとしなかった。
体操が終わる頃にふらっとやってきて、競技に参加するのがいつもの流れだ。
だから、ストレッチのときは僕は組む人がいなくて、いつもひとりでやっていた。
それでよかったのだ。
誰にも触れられない方が、よかった。
そうやって、今まで秘密を隠してきたのに。