センシティブ♥ボーイ
第27章 一人しかいない
電話が繋がらないのなら、家に行こう。
たくさんたくさん走って、鈴木くんの家についたけど。
鈴木くんの家はがらんとしていて、誰もいそうにはなかった。
インターホンを押しても誰もでない。
「……どこに…いるんだろ…」
僕はすっかり疲れ果てて、その場に座り込む。
鈴木くんが帰ってくるまでここで待ってやるんだ。
絶対にあきらめない。
玄関の前に座り込んで、時より近所の人にチラチラ見られたけど、そんな痛い視線にも耐えた。
鈴木くんはもっと辛い思いしたんだもん…
こうして座っていると、僕たちが付き合った夜を思い出す。
こうやって待っていたら、鈴木くんが眠っている僕をお風呂に入れて寝かしてくれていたんだ。
『佐藤……』
優しい声で僕の名前を呼んで、温かい手で僕の身体を包んでくれた記憶が微かに残っていた。
あの時も雨でびしょ濡れになっているのに、僕のこと探し回ってくれてたってお母さんに聞いた。
あの時も、いつだって、鈴木くんが僕のことを考えてくれていたのに――、
どうして僕は、すぐに鈴木くんを疑ってしまったんだろう。