センシティブ♥ボーイ
第27章 一人しかいない
「………え………」
「なんか忘れ物?だったらとってくるけど。」
「……ち…が……」
「じゃあ何?俺ら、もう関係ないんだよな?もうお前は俺のこと嫌いになったわけだし。こうなる前は俺ら話したこともなかったしな。」
「……す、ずきく……」
「別れたけど?仲よくしようとか無理だから。もともと話したこともなかったわけだから、元に戻ろうっつーのも変だし。」
鈴木くんは僕を見下ろしながら、表情も変えずにまた淡々と言葉を紡ぐ。
鈴木くんがいつも投げかけてくれた、あの優しい瞳も、優しい声も、どこにも見当たらなかった。
―――僕はそれだけ鈴木くんを傷つけたんだ……
「ぅ……っう……ごめ……っなさ…」
「ああ、いいよ別に謝んなくても。謝ってもらったって、何が変わるってわけでもない。お前は俺が嫌いで、こういう関係に疲れた。ただそれだけだから。」
違う……っ
違うよ……っ
違うもん…
否定したいのに、嗚咽とあふれ出る涙が邪魔をして、言葉が出なかった。
ボロボロとこぼれる涙を鈴木くんは拭ってはくれない。
僕の方を見ようともしない。
「………ヒッ…ク…ぅ………っうう…っぅ」
「帰れよ。お前の母さん心配すんぞ。こんなところでこんな時間に話すのも近所迷惑だし。」
僕の嗚咽だけがあたりに響く。
動かずに顔を膝に埋めて泣きじゃくっていると、鈴木くんはため息をついた。
「なんなんだよ………っなんでお前が……わけわかんねーよ……」