センシティブ♥ボーイ
第27章 一人しかいない
「鈴木くんが…大学いくって…そのために勉強してるって……知らなかったから……」
「………」
「僕とは会えないのに…真由美さんとは仲良くしてるんだって思ったら……おもったら……」
「思ったらなんだよ」
「……ぼ、ぼく……っもう……別れて…って…言われちゃうって…っ」
「………」
鈴木くんは何も言わずに僕を抱き寄せてくれた。
久しぶりのぬくもりに頭がほーっとする。
やっと背中に回った腕に嬉しくって僕も背中に腕をまわしてぎゅーっとしがみ付いた。
「……どうして…言ってくれなかったの…?僕だって…教えられるのに…」
「………悪かったよ…8月の模試終わったらバラして…驚かせようって思ってた。真由美は土曜が空いてる時が多かったから」
僕が何も言わずに聞いていると、鈴木くんはそれに、と先を続けた。
「デートだって、したかったに決まってんだろ?…でも、お前…体力ねーし。外いって遊んで、また勉強できなくなったら、って思ったら……お前…泣くだろうし」
「ご、ごめ…っめんどく…」
「ちげーよ。面倒とかどうとかって話じゃなくて。」
鈴木くんは僕の肩に顔を埋めると、ごにょごにょと小さな声で呟いた。
「………哀しんでる…お前を見たくなかったんだよ………」