センシティブ♥ボーイ
第38章 文化祭準備
◇◇◇
「さ、さとう…おまえ…」
「すずき、くん…」
思えばあれは運命だった。
佐藤が俺に背中を押されたことで勃起して、それに俺がたまたま気がついて。
佐藤の可愛い顔をみて、手放せなくなって。
あのとき背中を俺が押してなかったら…
あり得ないけど坂本が押していたら…
保健室の先生とのラブコメディになっていたかもしれない。
あれは俺だけに与えられた特権で。
俺と佐藤の間でしか起こり得なかった運命だったのだ。
だとしたら、これは運命の悪戯だろうか。
俺と付き合ううちに、俺の回りのやつらとも話せるようになってきて。
今まで中心にいることを避けていた佐藤が、
今、確実に大変なことになっている。
俺はわかっていた。
佐藤にその手の才能があったこと。
いや、佐藤の趣味がこの類いであったこと。
だからとめたんだ。
この佐藤は俺だけのものだ。
他のだれの目にも晒させやしない。
俺はあらゆる脅しを使って、こんな馬鹿げた計画を止めようと努めた。
しかしそれを取り仕切るあいつは、俺のことなんてなにも怖くないと鼻で笑って一蹴するだけで。
俺は怖かった。
この日を迎えるのが…
佐藤を連れて、駆け落ちをしようかとも思った。
畜生。
俺にもっと頭脳があれば―――
金があれば―――
権力があれば――――…!!!