Blurry Eyes(裏)~オレ・the・ロード~
第1章 再会
麗達(ライズ)の一員となったのは、幸太くんと再会してから三日目の事だった。
もしもあの時、あのまま高校を辞めていなかったら、年下の彼女でも出来ていたのでは、とも思う。
なにしろオレの通っていた高校は、男子生徒の数よりも、女子生徒の数の方が一回りほど多かったからだ。入学して一ヶ月後には、女子に告白されたし、学校帰りや休み時間には三人組の女達によくつけ回されていた。
ある日の放課後、やはりその三人組に呼び出された。場所は音楽室だった。あの時は告白されるモノだと思って、断る理由までちゃんと用意していた。
しかし、音楽室に着くなり、オレはその女達にボッコボコに殴られた。しかもそのあと、無理やり学年で一番ブサイクな女と付き合うはめになった。
実はその三人組とは、その学校の一年を仕切っていたスケバングループのメンバーだったのだ。つまり、入学してからすぐふった女が、そのグループのリーダーだったと言うわけで…あれは、リーダーの復讐だった…。
「あ、あの…断ってくれると、すごく助かるんだけど……お、オレと付き合ってくれないかな…?」
「…え!?…イキナリそんなこと言われても……私、いま勉強とか部活で忙しいから…。でも、小杉君がそんなに言うんだったら……いいよ…ポッ。」
その、スケバングループ二十人が見守るなか、鼻血をたらしながらオレは音楽室で告白をした。
相手の女は、茶道部で「畑中さおり」と言う名前だった。さおりとはその後、約半年間付き合った。
「ごめんなさい…私、やっぱりタッキーの方が好き…グスン。」
別れは、さおりの方からだった。
まあ、付き合っていたと言っても、せいぜい学校の帰りを供に過ごしたくらいだが…。
けれど、オレのモテ期はまだ終わらなかった。
あれは、二年に上がってまだ間もない頃だ。授業の合間の教室の移動で、たまたま一年生の廊下を歩いた時の事だった。
オレが教室の前を歩くと、なんと教室内の女子が一斉に立ち上がりざわめき出したのだ。
けれど、その女子達は、オレが通りすぎるとたちまち着席した。
あれは正しく、神宮球場で見た光景と同じだった。「ヤクルトスワローズ対中日ドラゴンズ戦」での五回裏に観客が巻き起こしたウェーブそのものだった。…あの時は確か、結局オレの応援していたヤクルトが負けたが…トホホ。