
小春食堂【ARS】
第24章 果てしない空【潤】
あいつ、気に入らねぇ。
「ねーねー、小春ちゃん、その首どうしたの?」
「吸血鬼に血を吸われたんや。」
「えー、吸血鬼って何それ!ヤブ蚊でしょ?ヤブ蚊!俺、虫刺されの薬持ってるよ。」
サラサラヘアのひょろ長い男は、鞄の中をごそごそしだした。
「ありがとう。でも、この跡は薬では治らへんねん。」
小春ちゃんが、ちらりと俺を見た。
くそ…、悪魔め!
「えー、俺の薬よく効くよ。α(アルファ)だよ。」
サラサラヘアの男は、まだぐだぐだ言ってる。
あいつ、気に入らねぇ!
平日のランチタイム、俺は小春ちゃんの店に来ていた。
数日前の首筋の跡は、まだくっきりと白い肌に残っている。
小春ちゃんは、それを隠すこともなく平然と仕事をしている。
「俺、どんだけ必死で吸い付いたんだよ。」
自分のしたことなのに、恥ずかしさで消え入りそうになっていた。
「どうぞ。」
小春ちゃんが、湯飲みにお茶を入れて出してくれた。
俺は、上目遣いにちらっと顔を上げたが、とても目を合わせられなかった。
「潤くん、お願いやから、うちの店のお客さん、にらみ殺さんといてな。」
「うっ!」
俺は、危うくお茶を吹き出しそうになった。
いや、若干吹き出した。
「うるせぇ…!」
思わず顔を上げた。
小春ちゃんは、いつものように目を細めて笑っていた。
「ねーねー、小春ちゃん、その首どうしたの?」
「吸血鬼に血を吸われたんや。」
「えー、吸血鬼って何それ!ヤブ蚊でしょ?ヤブ蚊!俺、虫刺されの薬持ってるよ。」
サラサラヘアのひょろ長い男は、鞄の中をごそごそしだした。
「ありがとう。でも、この跡は薬では治らへんねん。」
小春ちゃんが、ちらりと俺を見た。
くそ…、悪魔め!
「えー、俺の薬よく効くよ。α(アルファ)だよ。」
サラサラヘアの男は、まだぐだぐだ言ってる。
あいつ、気に入らねぇ!
平日のランチタイム、俺は小春ちゃんの店に来ていた。
数日前の首筋の跡は、まだくっきりと白い肌に残っている。
小春ちゃんは、それを隠すこともなく平然と仕事をしている。
「俺、どんだけ必死で吸い付いたんだよ。」
自分のしたことなのに、恥ずかしさで消え入りそうになっていた。
「どうぞ。」
小春ちゃんが、湯飲みにお茶を入れて出してくれた。
俺は、上目遣いにちらっと顔を上げたが、とても目を合わせられなかった。
「潤くん、お願いやから、うちの店のお客さん、にらみ殺さんといてな。」
「うっ!」
俺は、危うくお茶を吹き出しそうになった。
いや、若干吹き出した。
「うるせぇ…!」
思わず顔を上げた。
小春ちゃんは、いつものように目を細めて笑っていた。
