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小春食堂【ARS】

第24章 果てしない空【潤】

「ごちそうさま!」


俺はお勘定をすると、大きなスポーツバッグを肩にかけた。


「今から稽古?」


小春ちゃんが、お釣りを渡しながら聞いた。


「ダンスのレッスンに通ってるんだ。早く一人前にならないと、小春ちゃんがアラフォーどころかアラフィフになっちゃうからな。」


小春ちゃんは苦笑いしながら、そっと包んだおにぎりを渡してくれた。


「俺、あきらめないから。」


店を出ると、雲ひとつない空。

高く高く、どこまでも続く青空。


俺は、やっぱり小春ちゃんが好きだ。

だから、今は芝居に打ち込む。

一日も早く役者で一人前になって、家族に認めてもらうんだ。

その後、正々堂々と小春ちゃんに結婚を申し込む。

それまで、待っててくれるかな。
いや、俺を待つ義理なんてないよな。



だから俺は急ぐ。
他の誰かにとられる前に、俺が小春ちゃんを迎えに行く。

そう決めたから…。



空は高く、どこまでも青い。

俺の心と同じように。


【松本潤編・おわり】

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