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小春食堂【ARS】

第26章 走る走る【雅紀】

「北川さーん、グリーン急便ですー!」

インターホンに向かって叫ぶと、家の奥から人の気配がして、そのあと玄関の鍵が開く音がした。

「あぁ、宅配便のお兄さん。いつもすみませんね。」

北川さんは、腰が曲がった小さなかわいいおばあさんだ。

「いえいえ、お荷物玄関に置いとくね。」

俺は玄関に荷物を置くと、受け取りの印をもらった。

「じゃあ、きちんと鍵閉めてね。最近物騒だから。」

「はい、親切にありがとうね。お兄さん。」

俺はトラックに戻ると、次のお届け先へと車を走らせた。

最近はインターネット通販の普及で、物量がどんどん増えている。
のんびりしてたら、今日中に終わらない。

次のお届け先で車を停めると、俺は荷物を抱えて走り出した。
お届け先は、マンションの3階。
エレベーターはない。
汗を流して階段をかけ上がる。

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