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小春食堂【ARS】

第26章 走る走る【雅紀】

「ただいまー。」

夜、俺は一日の仕事を終え帰宅する。

玄関を上がると、弟のケンジが風呂から上がってきた。

「くせーよ、兄ちゃん。早く風呂行けよ。」

「わ、わかってるよ!うるせーな。」

俺は、一日走り回って汗だくだ。
自分でも汗臭いのがわかる。
俺が風呂から上がって台所でビールを飲んでると、母さんが晩飯を温めなおして出してくれた。

「雅紀、明日の町内の大掃除出てくれない?父さん、ぎっくり腰になっちゃって。ほら、母さんは婦人会の寄り合いがあるから。」

「えー、俺明日も仕事だよ。ケンジが行けばいいじゃん。」

俺は唐揚げをほお張った。母さんの唐揚げはうまいんだ。

「ケンジさ、明日から中国に出張なのよ。大掃除は朝からだから、仕事前にちょっと顔出すだけでいいからさ。」

「えー、また出張?しょうがねーなー。」

俺はぶつぶつ言いながら、晩飯を食べた。

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