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小春食堂【ARS】

第28章 千草焼き【雅紀】

「で、怒って帰ってしまったんやな。」

「うん…。」


俺は、今日も仕事前の腹ごしらえに小春ちゃんの食堂に来ていた。

あまりに落ち込んでる俺を見て、小春ちゃんが事情を聞いてきたんだ。

「弟に彼女いるか聞かれて怒って帰っちゃうなんて、俺、サイテー。」

カウンターに頭を突っ伏してうなだれる俺。

「ふふふ…」

「何だよ、笑うなよ!こっちは真剣に落ち込んでんだから!」

「あはは…!かんにん、かんにん。元気印の相葉くんが落ち込んでるなんて、貴重やと思ってな。」

小春ちゃんはそんなことを言いながら、料理を運んできた。

今日のメニューは、玉子焼き?
なんか具がいっぱい入った厚焼き玉子みたいなの。

「でも、相葉くんはその一言だけで怒ったんと違うやろ?他にも理由があったんと違う?」

「うーん…。」

俺は、手を合わせて箸を取り食べ始めた。

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