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小春食堂【ARS】

第28章 千草焼き【雅紀】

俺は、ぽつりぽつりと話し出した。

ずっと優秀な弟と比べられて来たこと。

それは嫌だったけど、兄貴としてのプライドもあるし、それをなるべく顔に出さずに生きてきたこと。

弟をねたましく思ったことはないけど、弟ばかりを評価するまわりの人達が嫌だった。

そんな“嫌な心”を持っている自分も嫌だった。

そんなことを、小春ちゃんに話した。

小春ちゃんは黙って聞いてくれた。

「みっちゃんに“弟に彼女がいるか”聞かれた時、今まで積もってたものが爆発したんだと思う。」

お酒もかなり入ってたし、それに…

「好きだった女の子にとどめをさされてショックやったって訳やね。」

「小春ちゃん、ひどいよ!」

あまりにズバリと言い当てられて、俺はますます落ち込んだ。

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