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小春食堂【ARS】

第30章 幸せ宅配便【雅紀】

「俺のこと、“高校の時より体格ががっちりして格好よくなった”だって!」

「へぇ~、そうなん。」

「宅配便頑張ってきたから、体が鍛えられたのかなー。」

「へぇ~、そうなん。」

「でも、“笑顔は高校の時のまま”だって!」

「へぇ~、そうなん。」

「ちょっと小春ちゃん、聞いてるの!?」

俺は今日も小春ちゃんの食堂で腹ごしらえ中。

「そんな歌、あったわねぇ。♪ずっと好きだったんだぜ~♪」

小春ちゃんが、ケンジと同じ歌を歌いだす。

今日のメニューは長くて緑色のとうがらしに肉が巻いて焼いてある。

「万願寺とうがらしの肉巻きや。とうがらしやけど、辛くないんやで。」

食べてみると…、本当に全然辛くない。
とうがらしは肉厚で、ピーマンよりも癖がなくうまい。

「もう、玉子の中にいろんな相葉くんを隠さずに…。そのままの相葉くんで、彼女ことしっかり包んであげなさいね。」

小春ちゃんは、ちゃんと俺の話を聞いていた。

「うん、そうするよ!俺の肉でみっちゃんを包んであげるよ!…って、肉に包まれるのは、みっちゃんじゃなくて、俺じゃない?」

小春ちゃんは、なぜか俺のことギロッとにらんだんだ。

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