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小春食堂【ARS】

第33章 約束の5日間【智】

卒業制作展で小春さんに会えなかった俺は、教授にもう一度小春さんに会えないか頼んでみた。

「いやぁ、向こうさんもいろいろ忙しいからな。ワシからお礼言っとくから、お前は気にすんな。」

教授はそう言うばかりで、もう小春さんには取りついでくれなかった。

本来、ただの学生の俺が気軽に会える相手ではなかったんだ。

小春さんは芸妓だ。
本当なら高いお金を出さないとお座敷に呼べない、会えない人なんだ。

俺は小春さんに再び会えねぇまま美大を卒業し、東京に帰り就職した。

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